2007年07月26日
都心ビルマスターとは何か
新書のようなタイトルにしたことには理由がある。大時代とは違い住みにくくなった現代では、「物知り」とはイコール「飲み会で隣になると面倒な人」「たまに電話でものを聞くと便利な人」という不当な扱いを受けているのである。
「都心ビルマスター」はまさにその典型といえよう。
東京タワーや都庁や飛行船に乗ると、あのビルは元麻布ヒルズだとか、あれは通称軍艦ビルという芝パークビルでダヴィンチ・アドバイザーズが買収したのだよとか、霞が関ビルは昔はどうだったとか、ビルをトリガーにして様々な話題を提供できる人間のことを指す。
たいていの場合は無理解なレディに「ふぅん」と言われて終わるのがオチである。よくて「いろいろ知ってるのね」と適当な感想を言われるくらい。
この東京砂漠では
「君に見とれて景色が見えないよ」
と言った方がいいのかもしれない。
そんな中でも心ある女性はいるものである。
最近帰国したNがそうで、
「ビルとか通りの名前とか暗記してる人ってもえもえしますよね★私も早くビルマスターになりたいな」
と、ビルマスターへの意欲を燃やしているのだ。
「通りマスター」というのもあって、タクシーに乗った時に「六本木通りを内堀通りに出て、日比谷通りから永代通りを過ぎて…」と的確に通りを指示するのがいいらしい。
「お任せ」「おすすめで」は禁句なのだ。
しかしながらそんな「ビルマスター」「通りマスター」も、一瞬だけいいな、と思われるだけで、その後はたいして記憶されないという事実も厳然として存在する。
実際にモテるのは
「ねぇ、あのビルなんていうの?」
「知らねぇよ。それより早くお前んち行こうぜ」
「えぇー。うん、わかった。」
というパターンになりがちなのだそうだ。
いくら勉強しても報われない、世知辛い世の中である。


